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アメリカの作家。1876年、サンフランシスコ生まれ。工場労働者、アザラシ漁船の乗組員など多くの仕事に就いた後、「野性の呼び声」(光文社他)で一躍流行作家となる。アラスカの自然と生の苛酷さを描いた短編や、海洋小説、ボクシング小説、SF、幻想小説、ルポルタージュなど、多彩な作品を発表、世界的名声を博したが、1916年に急死。邦訳に「白い牙」(光文社他)、「火を熾す」「犬物語」(スイッチ・パブリッシング)他多数。
ジャック・ロンドン 著
辻井栄滋 訳
四六判・478ページ
定価(本体3,600円+税)
白水社刊
絶望の青春──ジャック・ロンドン自伝的物語
船乗りマーティンは裕福な家の娘と出会い、新しい世界へ足を踏み入れる。労働者階級から独学で作家を目指す若者の苦闘を描いた名作。
20世紀初めのアメリカ西海岸オークランド。労働者地区で生まれ育った若者マーティン・イーデンは、船乗りとなり荒っぽい生活を送っていたが、裕福な中産階級の女性ルースに出会い、その美しさと知性に惹かれるとともに文学への関心に目覚める。生活をあらため、図書館で多くの本を読んで教養を身につけ、文法を学んだマーティンは作家を志し、海上での体験談、小説や詩、評論を次々に書いて新聞や雑誌に送るが一向に売れず、彼が人生の真実をとらえたと思った作品はルースにも理解されない。生活は困窮し、絶望にかられ文学を諦めかけたとき、彼の運命は一転する。
密漁者、船乗り、放浪者などを経て作家に転身、「野性の呼び声」で世界的名声を獲得したジャック・ロンドンが、自らの体験をもとに書き上げた自伝的小説。理想と現実のはざまで闘い続ける創作者の孤独な栄光と悲劇を圧倒的な熱量で描いたこの作品は、多くの作家や芸術家に影響を与え、読者の心を揺さぶり続けてきた。20世紀初頭アメリカの階級社会の中で、独学で自己向上を目指す主人公の苦闘は、苛酷な格差社会の入口に立つ現代の若い読者にも切実に受け止められるだろう。